こっちのけんとを深掘り │ 菅田将暉の弟として、苦悩を乗り越え本当の自分を表現するまで

話題
引用元:ORICON NEWSより

比較される宿命から「自分の看板」へ

「菅田将暉の弟」。

この肩書きは強力で、同時に重たい。

こっちのけんとは、その影の濃さもまっすぐに受け止めながら、音楽で自分の言葉を編み、動画とステージで“素の自分”を体現してきた。

2024年は「はいよろこんで」の大ヒット、レコ大最優秀新人賞、紅白初出場と飛躍の年。

だが華やかな結果の裏側には、長い逡巡と鍛錬、そして家族へのまなざしがある。

ここではプロフィールから芸名の由来、兄との関係までをまとめて“初めて読む人にもわかる”形で解説する。

プロフィール:緑のマルチアーティスト

こっちのけんと(本名:菅生健人)は1996年6月13日生まれ、大阪府箕面市出身。

所属はblowout Inc.。

キャッチコピーは緑のマルチアーチスト」で、作詞作曲から映像・デザインまで自ら手がける。

大学は駒澤大学で、学内アカペラサークルに在籍した。

学生時代はディズニー曲を中心に歌う「ケミカルテット」で活動し、アマチュアアカペラ全国大会「A cappella Spirits」で2017年・2018年と連覇。

2019年から“1人アカペラ”の動画投稿を本格化し、同年の紅白ではRADWIMPS「グランドエスケープ」のバックコーラスにも参加している。

2022年にオリジナル楽曲「Tiny」でデビュー。

続く「死ぬな!」がバイラルで広まり、2024年「はいよろこんで」はBillboard JAPANの複数指標で上位に。

年末にはレコ大最優秀新人賞と紅白初出場を果たした。

芸名の由来: “あっち”の自分と“こっち”の自分

はじめて聞く人がつまずきがちなポイントが、ユニークな芸名「こっちのけんと」だ。

これは、会社員だった頃に抱いた感覚から生まれた。

スーツにネクタイの自分は“背伸びしている他人行儀の自分”=「あっちのけんと」

対して、歌っている自分は“素の自分に戻れる場所”=「こっちのけんと」。

だから名乗るなら、素に近い“こっち”。

この「ホーム/アウェー」の対比が、芸名の核にある。

本人は「働いてネクタイしてる方の自分がアウェー、歌ってる自分がホーム」とテレビ朝日系のYouTubeで明かしているし、本人インタビューでも同趣旨を語っている。

初見でも“素の自分を選び続ける宣言”の名前だと理解できるはずだ。

兄・菅田将暉との関係:劣等感から、背中を押す言葉へ

引用元:PHPオンラインより 仲の良い3兄弟 左がこっちのけんとさん

2009年、兄が「仮面ライダーW」でデビューし“菅田将暉”になった頃、13歳だったこっちのけんとは“菅田将暉の弟”として背伸びして生きようとしたという。

年に数回しか帰れない兄を“俳優が下宿に来たみたい”と感じ、誇らしさと寂しさが同居していたとラジオで回想している。

その後、自分も歌手を志した矢先に兄の歌手デビューを知り、「嬉しさと悔しさが混ざった」と正直に吐露。

けれど、大学時代のアカペラ全国連覇で“自分の看板”を手にした実感が生まれ、少しずつ視界が開けていく。

決定的だったのは、兄からの

「お前できるんだからオリジナルを作れよ」

という言葉。

模倣ではない、自分の物語を曲にする決意が固まった。

家族や当人の証言を交えた取材でも、この兄の一言が転機として紹介されている。

兄弟をテーマに書かれたデビュー曲「Tiny」には、兄から受け取ってきた“おさがり”のような学びを、自分の組み合わせで社会に返すという意思が込められている。

こっちのけんとは

『けんとはけんとらしく自由にやったらいい』

という兄の言葉が大きかったと語り、家族への敬意を創作の芯に置く。

代表曲と表現:軽やかなポップに潜むSOS

「死ぬな!」は、切実なメッセージを軽やかなメロディに包んだ曲。

SNSでは“踏みとどまれた”という声も数多く本人に届き、言葉の責任と温度を学ぶきっかけになったという。

「はいよろこんで」は、モールス信号モチーフや“ギリギリダンス”で拡散。

国内外のチャート上位を記録し、MVや各プラットフォームでも急伸。

本人は「無限に好きでい続けられる曲か」を基準に作ると語る。

ヒットの陰には、ダンスや映像を巻き込む“総合演出”としての手腕がある。

病と向き合う発信:活動セーブと、その後

引用元:NHKニュースより 会社員の頃

こっちのけんとは、双極性障害(躁うつ病)であることを公表している。

うつと診断された会社員時代を経て、治療を続けるなかで双極性障害とわかったこと、テンションが高すぎる時期の“なんでも受けてしまう自分”が心身の負担につながることなどを、ラジオやインタビューで率直に語ってきた。

年始には「跳ね返りに備えるため当分休みます」と“活動セーブ”を宣言し、3月8日に「やっつけました」と期間終了を報告している。

病名を盾にも壁にもせず、状態を言葉にして共有する姿勢が、多くの共感を呼んだ。

こっちのけんと年表(要点だけ)

・2017–2018年:A cappella Spirits全国大会で連覇(ケミカルテット)

2019年:YouTube活動開始、紅白でRADWIMPSのバックコーラスに参加。

・2022年:「Tiny」配信開始、「死ぬな!」がバイラルヒット。

・2024年:「はいよろこんで」大ヒット、レコ大最優秀新人賞、紅白初出場。

・2025年:年始に活動セーブ→3/8終了を発表。

まとめ:名前どおり“こっち”を選び続ける

“あっち”ではなく“こっち”。芸名に込めた決意どおり、彼は素の自分で人前に立ち続ける。

比較される宿命も、病との距離感も、全部を曲に変え、映像に変え、ダンスで広げていく。

こっちのけんとの物語は、兄の背中に影を見ていた次男が、やがて自分自身の光で人を照らし返すまでの軌跡だ。

これからも、彼はきっと“こっち”を選んでいく。

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