
私の誕生日が近いので、のんびり過ごしたくて箱根のお気に入り「天悠」という素敵なホテルに泊まった私たち夫婦は、近くの箱根小涌園で開催されている「ランタンナイト」に二人で参加してきました。

昼間は降っていなかったのに、夜になったらあいにくの小雨模様。
正直なところ、屋外イベントとしては少し心配もありましたが、結果的にはそれがこの夜をより印象深いものにしてくれました。
会場に到着すると、受付を済ませてランタンを受け取ります。
このランタンはよくある空に放つタイプとは少し違い、水素風船の周りに白い紙袋がかぶせられ、中にはやさしく光る電球が仕込まれています。
紙袋にはそれぞれ願い事を書くことができ、私は少し照れながらも、今の自分にとって一番大切な思いをそっと書きました。

手元には、傘の持ち手のようなグリップがあり、そこに凧糸が巻かれています。
完全に手放すのではなく、糸でつながったまま夜空へとランタンを上げていく仕組みです。

雨が降っていたため傘をさしての参加でしたが、不思議なことに思ったより寒くなく、体の芯まで冷えるような感覚はありませんでした。
箱根の夜は冷えるイメージがあっただけに、これはうれしい誤算です。
いよいよ合図とともに、参加者全員が一斉に凧糸を伸ばしていきます。
ふわり、ふわりと浮かび上がるランタン。
暗い夜空に、赤と緑の色のやさしい光が次々と増えていく光景は、言葉を失うほど美しく、ただ「きれい…」としか言えませんでした。
小雨に濡れた空気と光が混ざり合い、どこか幻想的で、現実と夢の間にいるような気分になります。
周囲を見渡すと、皆それぞれに空を見上げ、静かにランタンを見守っていました。
大きな歓声が上がるわけでもなく、ただ共有される穏やかな時間。
その空気感がとても心地よく、夫と並んで同じ景色を見ていることが、いつも以上に特別に感じられました。
クライマックスが近づくにつれ、空には無数の光が揺れ、まるで星が低い位置まで降りてきたかのようです。
動画を撮りながらも、画面越しではなく、しっかりと目に焼き付けておきたいと思いました。
そして最後に待っていたのが、少しの“試練”。
ランタンを下ろす時間になると、あちこちで凧糸が絡まり始めます。
私たちの糸も例外ではなく、他の方の糸と複雑に絡まってしまい、なかなか取れません。
周囲と声を掛け合いながら、笑い混じりでほどいていく時間も、今思えば良い思い出です。
小雨の夜、願いを書いたランタンを空に上げるという非日常体験。
派手さはありませんが、静かで、あたたかく、心に残るイベントでした。
天候を理由に迷っている方がいたら、「雨でも十分楽しめる」と伝えたいです。
箱根小涌園のランタンナイトは、日常から少しだけ離れて、大切な人と同じ空を見上げる時間をくれる、そんな素敵な夜でした。


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