静岡県伊東市の政治がふたたび大きく揺れている。
学歴“除籍”問題、市議会との対立、不信任決議による失職、退職金の凍結、そして持ち上がる“再出馬”と“国政転身”の可能性──。
前回の記事でも触れたこの騒動は、もはや一地方都市のニュースに収まらず、地方政治の構造すら問う事態へと発展している。
今回の記事では、話題の中心である 田久保眞紀（たくぼ まき）氏 のプロフィールを整理しつつ、彼女の“第二幕”を占う重要要素を深掘りする。
田久保眞紀のプロフィール──「伊東市民と共に」の原点
田久保眞紀氏は 1970年2月3日生まれ、千葉県船橋市出身。
10歳のときに父親を病気で亡くし、母親とともに伊東市へ移住したという生い立ちを持つ。
学生時代は 静岡県立伊東城ヶ崎高校を卒業。
その後、東洋大学法学部へ進学したものの、今回の騒動の中心となっている通り「卒業」ではなく「除籍」であったと報じられている。
大学中退後はバイク便ライダー、人材派遣会社、広告会社での独立と、多くの業種を経験。
2010年には伊東に戻り、カフェ「SORA」を開業し地域に根ざした活動を開始。
さらに、伊豆高原メガソーラー反対運動のリーダーとして活動し、地域の環境保全を訴え続けた。
政治家としては、2019年に市議に初当選、2期務めた後、2025年5月に伊東市長へと上りつめた。
まさに“叩き上げ型”の市長として、市民との距離の近さ、改革志向の姿勢に支持が集まった。
“学歴除籍問題”が引き金に──議会との亀裂と市長失職
今回の騒動の起点は、 「学歴は中退ではなく除籍だった」 という告発文書である。
市議会で経歴の真偽を問われる中、議長からは「退学だろ！」と厳しい声が飛び交い、議場の空気は険悪そのもの。
この問題が、市議会の追及と市長への不信の象徴となり、やがて 不信任決議の可決 へとつながった。
加えて、議会との対立が極限まで達した時期には、田久保市長が 市議会の解散に踏み切る という異例の強硬策もあった。
「延命策では？」という批判の一方で、彼女の支持者からは「議会の既得権益と戦っただけ」という擁護もある。
そして不信任可決後、正式に失職。
さらに市は 退職金192万円の支給を凍結。「職務に犯罪性が疑われる」として慎重な姿勢を崩さず、市側は徹底した真相解明に動こうとしている。
会見で見せた涙──“除籍市長”の苦悩と素顔
失職後の会見で田久保氏は涙を見せ、
「市長職まで中退ではなく“除籍”になってしまいました」
と半ば自嘲気味に語った。
このユーモアにも似た表現は話題を呼び、SNSでも
「人間味がある」「正直すぎる」
という声と、
「軽すぎる」「開き直りだ」
という批判が真っ二つに分かれた。
だが、裏側には
⚫︎一度は市民に選ばれた誇り
⚫︎改革半ばで去る悔しさ
⚫︎市議会との対立で心がすり減った現実
こうした複雑な心境が滲んでいたのだろう。
再出馬か、政治家としての“終焉”か──揺れる進路
田久保氏は
「再出馬については相談して決める」
と慎重な姿勢に転じているが、周辺では 再選に向けた動きが本格化しているが、
⚫︎学歴疑惑の再検証
⚫︎支持者組織の立て直し 議会との関係修復
これらが鍵を握る。
特に、支持者がどこまで離れずに残るかが最大のポイントとなる。
もし彼女が正式に再出馬に踏み切れば、今回の騒動は「審判の場」へと移り、伊東市全体を巻き込む対立構造が再び表面化する可能性が高い。
「国政転身」の噂──可能性はゼロではないが…
一部では、
「女性首長として注目されていた彼女ならいずれ国政に進むのでは？」
という観測もある。
確かに、バイク便から広告独立、そして環境運動、市長へ──という物語性は強く、国政政党にとっても魅力的な人材に映るだろう。
しかし現状では、
学歴問題と不信任という“ハードル”があまりにも高い。
現実的には、
（1）地域で信頼を回復する
（2）市政へ戻る
（3）その上で将来的に国政へ──
という順序を踏まなければ道は開けない。
第二幕のキーワードは「説明」と「再構築」
田久保眞紀が再び政治の表舞台に戻るためには、次の3つが絶対条件となる。
⚫︎学歴問題に対する完全な説明責任の履行
⚫︎支援者ネットワークの再構築と地道な対話
⚫︎ “市議会との対立”を超える市政運営の提示
特に学歴問題は“致命傷”とされがちだが、どこまで透明性を持って説明できるかによっては、逆に「正直な政治家」という評価がつく可能性もある。
結びに──“除籍市長”から“再起の市長”へ
田久保眞紀という人物は、批判されるべき問題を抱えつつも、地域のために行動してきた実績も確かに持っている。
その両面こそが、彼女を「応援する人も、反対する人も多い」政治家たらしめている。
この騒動の行方は、伊東市にとってだけでなく、
地方政治における透明性と、市民の選択が問われる“ケーススタディ” としても重要だ。
次に彼女がどの道を選ぶのか──。
その決断は、伊東市政の未来と、彼女自身の政治人生の分岐点となる。
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